asamemo

趣味で書いたが消すのも何だというメモを置いておきます

7 Days to End with You感想駄文

【ネタバレはほぼありません】【There are few spoilers.】

 

本作をプレイしたきっかけは、AUTOMATONに短時間で遊べるゲーム、と紹介されていた事だ。短時間で遊べるという点は、基本的に集中力の無い自分に合っていた。

この記事には「NEEDY GIRL OVERDOSE」というゲームが紹介されていて、自分はこのゲームを知っていた事から記事を読む事にした。記事に紹介されているゲームの中で唯一、「7 Days to End with You」だけがswitchで発売される為、手に取りやすいタイトルだった。ピクセルアートである事も自分の好みだった。こうして今作の購入を決めた。PLAYISMのTwitterアカウントをフォローし、発売に備えた。

automaton-media.com

 

ゲームのあらすじは以下である。気が付くと、自分は謎の場所に見知らぬ人と二人きり。何かを話しかけられるが自分には記憶が無く、相手の言葉がわからない。しかしこの人は、自分に何かを伝えようとしている。自分が何者かも、自分の境遇もわからない以上、この人しか頼れるものがない。なんとかしてこの人の話している言葉がわからないものか…。

 

突然だが自分は、言葉は不確かで未完成な情報伝達手段だと思う。人と人との言葉による意思疎通は難しい。例え同じ日本語を話す相手とであっても、言葉は些細なニュアンスから誤った内容で相手に伝わるし、言い方ひとつで喧嘩の元にもなるからだ。そして話す言語が違えば、意思疎通の難易度は桁違いに跳ね上がる。
しかしながら、その分相手と分かり合えた時の喜びはひとしおだ。
例えば友人と、恋人と、通じ合えた時に絆や喜びを感じるだろう。
本作の面白さはこれにあると思う。

 

最初は相手が何を言っているのかわからないまま物語が終わる。ゲームのシステムとして相手の言葉が文字として表示されても何語かもわからない記号の羅列だ。
しかしながら、この記号の羅列はどういった状況で使われていたのかを考えてみる。
相手の素振りから、何かの感情を表す言葉ではないか。瓶や棚、食器等を指して使われている言葉だが、これらに共通する意味としてどんなものがあるか。こうした推測を何度も繰り返していくと、段々と一つ一つの言葉の意味が分かるようになる。相手の伝えたい事がなんとなく分かるようになる。
今度は、自分も相手に言葉で意思を伝える事ができないか? 全くできなかった言葉での意思疎通が、少しずつできるようになる。相手は反応を返してくれる。
そうして相手の思いを自分なりに解釈し、自分はどう応えるべきか。

 

本作は一言で言えば翻訳ゲームである。
こうした翻訳作業は、外国語がまるでわからなかった過去の歴史上でも実際に行われていただろう。江戸時代のオランダ語の翻訳について触れている「蘭学事始」という例がある。様々な状況から「フルヘッヘンド」という単語が「盛り上がった」のような意味だと推測する逸話は有名だ。
翻訳作業をしろと言われると、面倒で苦心するイメージだが、今作は使われている単語の数が少ない。言葉の意味を推測する為に、今までの話を振り返る事も簡単にできるゲームシステムになっている。自然に、物語を進めながら、翻訳を試みる事になるのもこのゲームの魅力だ。

 

本作はノベルゲームに分類される。テキストを読んで物語が進み、自分の行動で結末が変わるタイプのゲームだ。行動といってもアクションゲームではないので、飛んだり走ったりして思うままに行動するといった自由さは無いが、ノベルゲームとしての自由度は高い。
どういう事かと言うと、詳細にどういう世界か説明があり、主人公が「こう思った」と書かれている、小説ライクなノベルゲームではないからだ。主人公はどう思ったかをあまり言わないのだ。世界で何が起こったのかが分かる情報が、断片的でしかない。ゲームをプレイしているあなたが感じ、会話の内容を、物語を自由に解釈する。あなたの意志で行動が変わり、主人公の行動が変わる。

 

初めに自分には集中力がないと書いたが、結果として寝食を忘れる程没頭した。休日を一日潰した。良く言えば、それだけ濃密にゲームの世界を入り込めたのだ。しかし決して止め時が無いゲームではなく、隙間時間でも遊びやすいタイトルなので是非手に取ってみて欲しい。総プレイ時間で考えれば、確実に短時間でエンディングまで見られる部類なのだ。
言葉の意味が全てわからなくても、話の内容は大体わかるし。
さて、夜も遅いので私は眠る。
お休みなさい、これを読んでいるもう一人の〇〇〇〇〇。